小さな一歩の積み重ね

半年前、私たちの引っ越しと同じ時期に、息子もまた一人暮らしを始めました。
新しい環境での生活は決して順調ばかりではなく、眠れない日があったり、気持ちが沈むこともあります。けれど一方で、朝早くから夜遅くまで、多動とも言えるほど精力的に働く日々を過ごしています。その姿に、強さとひたむきさを感じずにはいられません。

一緒に暮らしていた頃、息子の部屋はいつも足の踏み場もないほど散らかっていました。ゴミをゴミ箱に捨てることさえ難しかったのです。ところが今は、きちんとゴミ箱へ捨てられるようになりました。ほんの小さな一歩のように見えても、彼にとっては確かな成長の証です。

さらに、一度だけではありますが、自分で洗濯機を回すこともできました。過去にはなかったことです。もちろん、これらの変化は一朝一夕に訪れたものではありません。つまずいたり後戻りする日もありましたし、思うようにいかずに親として胸が痛む瞬間も数えきれないほどありました。けれども、そうした小さな試行錯誤の積み重ねこそが、今の姿につながっているのだと感じています。
十のうち一つかもしれません。けれど、その一つがこれからの十につながる道筋になると信じています。

人が歩む速度はそれぞれ違います。大きな進歩よりも、こうした小さな積み重ねこそが未来をひらく力になるのだと、息子を見て改めて思わされます。

母として願うのは、ただひとつ。
他の誰とも違う、彼らしい幸せな生き方を確立してほしい――その思いを胸に、これからも静かに見守っていきたいと思います。

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