🩵 第2話:見栄と現実のはざまで

🍃はじめに

結婚してからの年月の中で、たくさんの喜びと、同じくらいのすれ違いがありました。
けれど今振り返ると、その一つひとつが、夫婦の形を少しずつ整えてきた気がします。

このシリーズは、そんな日々の中で気づいた「夫婦との向き合い方」を、
静かに、ありのままに綴った記録です。

怒りも、戸惑いも、笑いも──
すべてが、長い時間をかけて編まれた“ふたりの物語”です。

足りないと言われるのが、いちばん嫌いなひと

見栄とプライドの裏にある、本当の不安と頑張りの理由。

夫は「お金が足りない」と言われるのが何よりも嫌いだ。
まるで、自分の努力が否定されたように感じるのだろう。

彼の口癖は、「自分でたりひんのやったら、他の家もたりてない」。
見栄と自尊心の混ざったその言葉を、私は30年聞いてきた。

スナック菓子を出すと、安ものを食べさせられていると嫌な顔をし、デパートでスイーツを買えば、俺はいつもこういういいものが食べたい、と言わんばかりの満足げな顔。
お金の使い方に一貫性はないけれど、“夫なりの幸せ”があるのだと思う。

私はというと、お金をかけなくても十分に楽しく暮らせるタイプ。
けれど、そんな私の感覚は夫には不思議に映るらしい。

それでも最近、夫は少しずつ変わってきた。
味噌汁を作ってくれたり、コーヒーを淹れてくれるようになったり。
派手さの中にしか見つけられなかった“満足”が、
少しずつ“穏やかな日常”の中に変わりつつある。

🌸おわりに

夫婦には、正解も完成もないのだと思います。
少し離れて、また近づいて、
そのたびに新しい“ちょうどいい距離”を見つけていく。

これからも、静かに笑って過ごせる時間を大切に、
少しずつ、やさしく、ふたりの形を育てていきたいと思います。 

👉 シリ-ズ前回の記事はこちら
第1話:単純な夫の法則

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