彼女と出会ってから、私は「自分を責める」という癖に気づきました。
家族との関わりや過去の出来事、言葉にしなかった後悔。
「どうしてあのとき、もっと上手くできなかったのだろう」
そんな思いが、心の中でずっと消えずにいたのです。
そんな私に、彼女が笑いながら言った言葉が、今も忘れられません。
「自分に厳しいのもええけど、
自分を許すことも“やさしさ”のうちやで」
その瞬間、胸の奥に静かに広がるものがありました。
「許す」という言葉を、私は“甘やかすこと”だと思っていたのです。
けれど彼女は、違う視点を教えてくれました。
「許すって、忘れることやないよ。
自分の痛みを、“ちゃんと見てあげること”なんやと思う」
彼女の言葉を聞いたとき、私は初めて“自分の心”をまっすぐに見つめた気がしました。
強くなろうとすることばかりに必死で、
傷ついた自分を見ないようにしていたのかもしれません。
本当の強さは、
「できなかった自分」も「頑張った自分」も、
どちらも受け入れられること。
そう気づいた瞬間、ふっと肩の力が抜けていきました。
それ以来、私は何かに失敗しても、
「あのときの私も、精一杯生きていた」と
心の中でそっとつぶやくようになりました。
彼女の言葉は、私に“自分を許す勇気”をくれたのです。
そしてその優しさは、
人を許すことにも、やがてつながっていくのだと感じています。
👉 次の記事はこちら → 第3話:苦労するのが生きてるってこと ― 彼女からの教え